イベントやライブで、ステージ上にいる演者はだいたいイヤモニをつけています。
イヤモニは「インイヤーモニター」の略で、いわゆるイヤホンです。ステージをやることが多い演者は自分の耳の型を取って作った自分専用のイヤモニを持っていて、受信機は腰のあたりにベルトで装着しています。
耳の中に入れる形のカナル型イヤホンを普段使っている方は分かると思いますが、耳栓と同様の効果なので外部音が遮断されます。イヤモニも同じで、つけていると会場の生の音も遮断されてしまうので、MCなどで会場の音を聞きたいときは片耳を外している人もいます。
で、たまに聞かれるのが「あのイヤモニでは何が流れているのか?」ということ。
基本は歌う曲のバックトラック、つまり伴奏と、自分の声の返しが聞こえてます。
プラス、今はほぼ全ての演奏はPCで制御されているので、演奏を合わせるためのクリックというメトロノームの音を返したり、曲が始まる時や歌い始めのキッカケを知らせる「ワン、ツー、スリー、フォー」というカウントが鳴っていたりします。あとはスタッフ側から急遽ステージ上にいる演者に伝えたいことがあるときは、スタッフの声をそのままイヤモニに返す場合もあります。
電波数の関係もありますが、ボーカルの人とバックバンドの人とで鳴る音のバランスは変えられます。会場のリハーサルにおいて、このイヤモニの音のバランスを整えるのは演者にとってすごく重要なことなので、音響さんとの連携はとっても大事。
ちなみにイヤモニがまだなかった時代は「転がし」と呼ばれるモニタースピーカーが数台ステージに置かれていて、そこから出る音が演者にとって全てでした。でも会場の大きさが大きくなるにつれて反響音も大きくなるので、ステージの立ち位置によってはどの音が正しいのか分からなくなるし、ここから出る音はお客さんにも聞こえる可能性のある音なので、クリックやカウントの音は流しづらい。さらにステージ上の音は意外に大きいので、耳をやられてしまう危険性もあります。
でもイヤモニの登場で、会場のどこにいても、トロッコなどで客席の奥の方に行ったとしても演者に聞こえている音は一定にできるので、そんな心配をせずパフォーマンスに集中できるようになりました。
あとは演者だけでなく、一部のスタッフもこのイヤモニの音を聞いています。
音響はもちろんですが、照明や映像など音と連動させてあれこれ行うスタッフにとってもクリックやカウントは大事な要素となります。